生徒さんのレベルや目的によって多少変わりますが、音楽的な知識がほとんどない状態でトランペットを始める生徒さん向けに使っている教本があります。
音符の種類やシャープ・フラット、スラーやアクセントなど、徐々にこなさなければいけない要素が増えていきます。最初はスイスイ進みますがだんだんと一回にこなせる量は減っていきますが、これは、大人の方でもお子さんでもだいたいそうです。
傾向としてですが、小学生がいちばん、感覚的に吸収できるものはどんどん上達していきます。「あ、トランペットってこんなことできるんだ」と思ったものが、自分でもできるようになる。そういう、イメージ、感覚的につかめたものの吸収は「若さってスゴイ」とつくづく思ってしまいます(笑)
逆に、論理的なこと、知識的なことを頭で処理しながら演奏することはやはり大人の人が得意だなぁと感じます。
前置きが長くなりましたが、今週、とある小学生からエチュードの最中に「こんなことやって意味あるの?」と言われてしまいました。ちょうど、フラットが増えてきて、頭で考えることが複雑になってきています。
「こんなことやって意味あるの?」
僕だけでなく、本当にたくさんの人が学生の時何かの教科で口にしたであろうセリフを自分がついに言われたことにちょっと微笑ましい気持ちもありつつ、同時に「伝わる言葉で説明してあげたいな」と思いました。
「曲の練習ばっかりだとさ、1ずつしか強くなんないんだよ。その曲が終わってまた別な曲を練習ってことも意味はあるんだけど、技術があまり強化されないんだ。基礎力って、ゲームでいうで言う魔法みたいなもんで。ゲームで魔法を覚えると攻撃力を上げたり素早さを上げたりして戦いを有理に進めれるようになるみたいに、こういう理屈をひとつひとつマスターするといろんな曲が今までより簡単に吹けるようになるんだよ♪練習してる最中はわかりにくいんだけど、今、◯◯くんの引き出しをふやしてるんだ。」
男の子だったので、こんな説明をしました。
上手な説明だったかは分からないのですが、ゲームの例えはその子には腑に落ちたようで、エチュードに対してのモチベーションを下げないことに効果があったようでした。
音階練習や、分散和音、リズムパターンなどなど、楽器には機械的で、それだけに覚えることが大変な練習がいくつもあります。
ただ、音楽はそういったいくつもの理論や法則、パターンによって書かれているので、そこをクリアできていると、曲を演奏するときにそのことにさいなまれることなく、表現することにエネルギーを向けやすくなります。今まで苦労してきたフレーズ、曲が楽々と吹けたとき、きっと自分の上達を実感したり、達成感を感じることができると思います。
そういった気持ちよさを味わってもらうためにも、生徒さんとこの退屈な(笑)練習を一緒に戦っていきたいと思います。